米小児科専門誌Pediatricsに最近掲載された研究報告によれば、5歳未満の子どもにおける電子たばこ関連の中毒件数は、2015年前半までのわずか3年間で15倍に増加した。



米食品医薬品局(FDA)は最近、電子たばこも葉巻や無煙たばこ、その他のたばこ製品と同じように規制すると発表。これで18歳未満への販売は禁止されることになるが、拡大しつつある電子たばこ関連の中毒問題に規制がどれだけ影響を及ぼすのかは不透明だ。

中毒事故管理センターに寄せられる電子たばこ関連の中毒の報告のうち、44%は2歳未満の子どもの中毒だ。

「残念ながらこの国では、子どもを炭鉱のカナリアのように扱っている」と、研究報告の上席著者で、オハイオ州コロンバスにあるネーションワイド小児病院傷 害研究政策センターのディレクターのゲアリー・スミス医学博士は言う。「電子たばこ製品の中には、幼い子どもにとってきわめて危険なものもある。それでも 今回の研究報告で示したような数字を見るまで、危機感は生まれない」

「電子たばこは、子どもの安全を十分に考慮せずに市場に出されている、きわめて毒性の強い製品の新たな例にすぎない」とスミスは指摘する。研究によれば、 電子たばこ製品にさらされた子どもは、そのほかの従来のたばこやニコチン製品にさらされた子どもよりも2.5倍、深刻な内科的合併症を発症する可能性が高 い。

スミス率いる研究チームでは、2012年1月から2015年4月にかけて、ニコチンまたはたばこ製品に関連した中毒の報告29,141件全てを分析。全米 中毒情報データシステムのデータを利用し、6歳未満の子どもについての報告のみに焦点を当てた。すると同時期の報告件数は1か月あたり平均729件、その うち60%が従来のたばこ関連だった。

16%はそのほかのたばこ製品(葉巻、無煙など)による中毒で、電子たばこ関連の報告は全体の14%だった。その電子たばこ関連の中毒の5件に4件は、子どもによる誤飲(ニコチン液の誤飲など)だ。

「電子たばこ用に何種類もの液体フレーバーが販売されており、その多くは子どもにとって魅力的に見える」とスミスは言う。「一般的な液体フレーバーの容器1つ分に、十分に深刻な結果を招き得る量のニコチンが含まれている可能性がある」

子どもの手の届かないところに保管を

研究報告にある電子たばこ関連の中毒事故4,128件のうち、死亡事故は1件。ほかにも2人の子どもが発作を起こし、3人が呼吸停止になり、4人がこん睡 状態に陥った。最も多かったのは721人が経験した嘔吐で、その後は咳や息苦しさ、目の炎症や痛み、眠気や頻脈などを伴い、1.6%が入院につながってい る。

これに対して葉巻など電子たばこ以外のたばこ製品関連の中毒が入院につながる確率は0.3%だ。

米国で2016年1月に成立した子供のニコチン中毒を予防する法律では、今夏から電子たばこ用液体の容器を子どもが開けられないようにすることが定められ ており、スミスはこれで中毒が減ることを期待している。米小児学会も、幼い子どもを含め、若者の電子たばこや電子たばこ用液体、関連製品へのアクセスを減 らすよう提言している。

子どもの電子たばこ関連中毒のうち、報告書に経緯の記載があった243件のうち100件は、子どもの見えるところに電子たばこが保管されていた。うち30件は一時的に容器を開けて使用中で、そのほかの場合は常に出しっぱなしだったり、保管が不適切だったりした。

スミスは、電子たばこは家にあるそのほかの毒物と同じように扱うべきだと提言する。「保護者は子どもから離れたところで電子たばこを使用し、リフィルも子どもに見えないところで行うべきだ。使い終わったら子どもの目の届かない、できれば鍵のかけられる場所にしまうことだ」

財布の中や車のダッシュボードなど、子どもの手の届きやすいところに入れておくのは避けるべきだ。


http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160514-00012122-forbes-bus_all

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ニコチン入りリキッドは少量でも、誤飲すると大変危険ですね
日本で劇物指定されて薬事法で厳しく制限されているのにも理由があります。